本園は、天使の聖母宣教修道女会のシスターたちの献身的な働きにより、静岡県内で4番目、中部地区で初めての特別養護老人ホームとして、昭和44年6月に設立されました。
この世に命が与えられている限り、必要とされない命は一つもありません。カトリックの人間観に基づき、キリストの愛と謙遜・信頼・忍耐を持って、私たちの手を必要とする方々を、自由と平等のうちに受け入れることを目指しています。
「そのとき、イエスはこう言われた。『天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになりました。そうです、父よ、これは御心に適うことでした。すべてのことは、父から私に任されています。父のほかに子を知る者はなく、子と、子が示そうと思う者のほかには、父を知る者はいません。疲れた者、重荷を負う者は、だれでも私のもとに来なさい。休ませてあげよう。私は柔和で謙遜な者だから、私の軛(くびき)を負い、私に学びなさい。そうすれば、あなたは安らぎを得られる。私の軛は負いやすく、私の荷は軽いからである』」(マタイによる福音書11章25節~30節)
このイエスのことばに「軛」というものがあります。「軛」とは、農耕のために家畜(牛やロバ)2匹を左右に並ばせ首に枷(かせ)をつけて一組にし、同時に引かせるために用いる道具のことです。時には奴隷のように働かせる苦役という意味を持つものです。
しかし、イエスは「私の軛は負いやすく」と言います。本来なら苦役の象徴のようなものが負いやすいものとなるのはなぜでしょう。私たちの人生の困難や老いという軛(くびき)は無くならないが、首を入れる二つの穴の片方をイエスが担ってくださるから負いやすくなるのだと言うのです。そして、重い荷をイエスが共に負ってくださるから軽くなるのだと語っているのです。
イエスは、支えを必要としている者、助けを必要としている者と共にその重荷を負い、共に歩むことが神さまのお望みであることを、自らの十字架での死をもってまでもお示しになりました。何故なら、この世界においては、有益である有用であると賞賛されることがその存在価値を決めてしまう傾向がありますが、この世界にあっていらない命など何一つないことを「知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになる」ことが父である神さまの御心であるからです。
聖ヨゼフの園は、そうした助けを、介護・看護を必要としている高齢者のために設立されました。それは単に福祉のためのサービスを提供することだけに留まることではありません。この社会において神が与えてくださったいのちが、最後の時まで大切にされる(=愛される)ことが神さまの望みであることを、聖母福祉会は、設立の土台に据えています。
この世に命を与えられている限り、必要とされない命は一つもないという信念のもとに、ご利用者お一人おひとりとの人格的な関わりを大切にします。この信念と姿勢に基づき、ご家族、地域と連携しながら、家庭的な温もりを伴う介護を提供することをめざします。
本会は、パリ外国宣教会(東アジアの宣教を担当するカトリック教会の宣教会)によって昭和25年(1950年)に設立された清水聖母保育園をもって社会福祉活動の第一歩を踏み出し、昭和41年(1966年)に社会福祉法人の設立認可を受けました。
以後、掛川、徳山、浜松、岡部、藤枝、島田に保育園を、静岡に聖ヨゼフの園を順次開設し、「この世に命が与えられている限り、必要とされない命は一つもない」という信念をもって、生涯にわたる人格形成の基礎を培う乳幼児期の子どもの育ちと、生涯の最期の大切な時期にあたる高齢期の方々の生活を支援しています。
なお、平成29年(2017年)には聖ヨゼフ診療所を開設し、現在、静岡県中西部に9施設(保育施設7、老人施設1、医療施設1)を運営しています。
聖ヨゼフの園
聖ヨゼフ診療所
清水聖母保育園
岡部聖母保育園
藤枝聖マリア保育園
島田聖母保育園
徳山聖母保育園
掛川聖マリア保育園
天使園子どもの家
昭和25年6月 | 清水聖母保育園開設 |
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昭和41年5月 | 掛川聖マリア保育園開設 |
昭和41年5月 | 徳山聖母保育園開設 |
昭和41年5月 | 社会福祉法人聖母福祉会設立認可 |
昭和41年7月 | 天使園ベビーホーム開設 |
昭和42年6月 | 岡部聖母保育園開設 |
昭和43年4月 | 藤岡聖マリア保育園開設 |
昭和44年6月 | 特別養護老人ホーム聖ヨゼフの園開設 |
昭和47年4月 | 島田聖母保育園開設 |
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昭和53年10月 | 聖ヨゼフの園 ショートスティ事業を開始 |
昭和54年4月 | 天使園ベビーホームから天使園子どもの家に名称変更 |
平成元年1月 | 聖ヨゼフの園 付属棟を建設 |
平成6年4月 | 聖ヨゼフの園 ホームヘルプサービス事業を開始 |
平成11年10月 | 聖ヨゼフの園 居宅介護支援事業を開始 |
平成12年2月 | 聖ヨゼフの園 デイサービスセンター開設 |
平成12年4月 | 聖ヨゼフの園 介護保険法の施行により介護保険施設として事業開始 |
平成14年7月 | 藤岡聖マリア保育園から藤枝聖マリア保育園に名称変更 |
平成19年3月 | 聖ヨゼフの園 新館(ユニット棟)増築 |
平成20年3月 | 聖ヨゼフの園 本館耐震・改修工事完了 |
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平成28年11月 | 非常用井戸設置 |
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災害時の非常用水源として深さ40mの井戸を設置しました。この井戸水は、飲料水の水質基準を満たしています。
平成29年4月 | 聖ヨゼフ診療所開院 |
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平成29年7月 | ホール改修工事完了 |
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耐震ブレースの設置等により、天井の落下防止措置を施しました。
避難者用の間仕切りを備えています。
令和2年7月 | 災害対策用トイレ(マンホールトイレ)設置工事完了 |
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こちらをご覧ください → マンホールトイレの仕組み
創造主である神のメッセージの中で特に大切なのは、「命の尊厳」と「人間の尊厳」ということです。
基本理念であるキリスト教精神を基盤として、愛と謙遜をもって、高齢者の方々や子どもたちと接してまいります。一人ひとりの尊厳を大切にしながら、心身ともに健やかに育成され、日常生活を地域社会において営むことができるよう支援します。
当法人では、1老人施設と7保育園、および公益事業としての聖ヨゼフ診療所において、この目的に向かって確実に実行するよう事業を行います。
また、それに加えて令和6年度においては、気候変動や地震、そしてそこから派生する大災害に対する対策や、利用者と職員への感染症対策に最大限の努力をするよう職員一同一丸となって臨む所存です。
・園長会及び各施設において、キリスト教精神の理解と共有を深める。~各園長及び職員が、「イエス・キリストを通して示された神様の愛」を感じ、神が与えた命はかけがえのないものであることを認め、大切にする。
・各施設の特徴を生かした地域福祉の充実と推進
・施設内研修(OJT)の実施、法人研修、外部研修への参加
・介護報酬、保育所運営費が抑制される中での、収支バランスの維持
・利用者の掘り起こしと利用率の向上による収益の向上
・調達の効率化等による経費節減
・適正な人件費比率の維持
・将来の支出に備えての積立金の積み増し